アレルギー表示とは
・アレルギー表示とは
アレルギー物質の表示
■平成14年4月より加工食品のアレルギー表示制度がスタートしました。
ここでは表示制度について、わかりやすくご説明します。
アレルギー表示は、なぜ必要とされるようになったのでしょうか?
近年、乳幼児から成人まで、特定の食物が原因でアレルギー症状を起こす人が増えており、中には死に至るほど重篤な症状の方もいらっしゃいます。そのため、食品中のアレルゲンに関する正確な情報の提供が必要となりました。
この表示の目的は、
1.重篤なアレルギー症状が起きるのを避けることにあります。
2.表示を見ることで、食べても大丈夫な加工食品を選べることにあります。
では、実際に表示されるアレルギー物質とはどのようなものでしょうか。
現在、表示されているアレルギー物質には、必ず表示されるもの5品目と表示が勧められているもの20品目があります。特に必ず表示される5品目には、患者の皆さんの人数の多い卵、乳と小麦と重篤な症状に至ることが多いそばと落花生が指定されています。
1.必ず表示されるもの <義務品目>(5品目)
必ず表示されるものは、卵・乳・小麦・そば・落花生です。
2.表示が勧められているもの <推奨品目>(20品目)
表示が勧められているものは、下表の20品目です。
あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、バナナ
ところが、ここまで述べてきた、必ず表示される5品目が含まれていても、表示されない場合があるので注意が必要です。
まず表示されるものとは、
1.あらかじめ箱や袋で包装されている加工食品
2.缶や瓶詰めの加工食品
一方、表示されないので、気をつけなければならないものは、
1.店頭で計り売りされる総菜・パンなどその場で包装されるもの
2.注文して作るお弁当
3.容器包装の面積が30cm2以下の小さなものは表示されません。
●表示される加工食品
・あらかじめ箱や袋で包装されている
加工食品 ・缶や瓶詰めの加工食品
●表示されない加工食品
・店頭で計り売りされる総菜
・パンなどその場で包装されるもの ・注文して作るお弁当
・容器包装の面積が30cm2以下の小さなもの
5品目は、そのタンパク質が微量でも含まれている場合は、表示されます。
但し、数mg以下/加工食品1kgの場合は、表示されません。
可能性表示の禁止
今までとは逆に、表記が禁じられている場合としては、確実な証拠がないのに、「卵が入っているかもしれません。」「卵が入っている場合があります。」のような「可能性表示」は禁止されています。これは、このような実際に含まれていないのに含まれているかどうかわからない表記を許すと、患者の方の食べることができるものをいたずらに狭めることとなるからです。
■アレルギー表示の対象には必ず表示される「義務品目」(5品目)と、表示が勧められているもの「推奨品」(20品目)があることを説明しました。しかし、例えば義務品目である卵についても、製品の表記欄の書き方には別の書き方も認められています。これが代替表記と呼ばれるもので、義務品目の「卵」であれば、「たまご、鶏卵、あひる卵、うずら卵、タマゴ、玉子、エッグ」が認められています。つまり、これらの表記があるものは、卵アレルギーの方は食べないよう注意する必要があることとなります。
更に、当然アレルギー物質が含まれているであろうと類推できる特定の加工食品が表記されている場合、例えば「卵」の場合であれば、「マヨネーズ、かに玉、親子丼、オムレツ、目玉焼、厚焼玉子、オムライス」等は、改めて「卵」と記す必要がないこととなっています。
<義務品目、代替表記、特定加工食品(表記例)>
義務品目 代替表記 特定加工食品(表記例)
表示されるアレルギー物質は、別の書き方も認められています。これを代替表記といいます。 アレルギー物質が含まれていることがわかる時には、アレルギー物質名を表記しなくてもよいことになっています。
卵 たまご、鶏卵、あひる卵、うずら卵、タマゴ、玉子、エッグ マヨネーズ、かに玉、親子丼、オムレツ、目玉焼、厚焼玉子、オムライス
小麦 こむぎ、コムギ パン、うどん、小麦粉
そば ソバ そば粉、そばぼうろ、そば饅頭
落花生 ピーナッツ ピーナッツバター、ピーナッツオイル、ピーナッツクリーム
乳 生乳、牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム(乳製品)、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ(乳製品)、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖れん乳、無糖脱脂れん乳、加糖れん乳、加糖脱脂れん乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー(乳製品)、ホエイパウダー(乳製品)、たんぱく質濃縮ホエイパウダー(乳製品)、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料 アイスクリーム、生クリーム、ヨーグルト、ミルク、レーズンバター、バターソース、ガーリックバター、ラクトアイス、アイスミルク、カマンベールチーズ、プロセスチーズ、ブルーチーズ、コーヒー牛乳、牛乳がゆ、乳糖
また、推奨品目「大豆」においては、代替表記として「だいず、ダイズ」、更に、特定加工食品の表記例としては、「醤油、みそ、とうふ、油揚げ、厚揚げ、豆乳、納豆」等のダイズが使われていることが類推できる加工製品の表記があれば「大豆」と表記しなくてよいこととなっています。
<義務品目、代替表記、特定加工食品(表記例)>
推奨品目 代替表記 特定加工食品(表記例)
あわび アワビ 煮あわび
いか イカ するめ
いくら イクラ、スジコ、すじこ いくら醤油漬け
えび エビ、海老 さくらえび、えび天ぷら
オレンジ ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、オレンジジュース
かに 蟹、カニ カニシュウマイ
キウイフルーツ キウイ キウイジャム
牛肉 牛、ぎゅうにく、牛にく、ぎゅう肉、ビーフ 牛脂、ビーフコロッケ、牛スジ
くるみ クルミ くるみパン
さけ 鮭、サケ、サーモン、しゃけ、シャケ 鮭フレーク、焼鮭、スモークサーモン
さば サバ、鯖 さば寿司、さば節
大豆 だいず、ダイズ 醤油、みそ、とうふ、油揚げ、厚揚げ、豆乳、納豆
鶏肉 とりにく、とり肉、鳥肉、鶏、鳥、とり、チキン 焼き鳥、ローストチキン、チキンブイヨン、鶏ガラスープ
豚肉 ぶたにく、豚にく、ぶた肉、豚、ポーク ポークウインナー、とんかつ、豚生姜焼き
まつたけ 松茸、マツタケ まつたけ土瓶蒸し
もも モモ、桃、ピーチ 黄桃、白桃、ピーチペースト
やまいも ヤマイモ、山芋、山いも とろろ、ながいも
りんご リンゴ、アップル アップルパイ、りんご酢
ゼラチン 粉ゼラチン、板ゼラチン
バナナ ばなな バナナジュース
また、製品の表記欄での加工食品に使われているアレルギー物質の表記方法には、加工食品に使われているアレルギー物質を、現材料名の最後にまとめて書く表記法(一括表示)と個々の原材料ごとに、アレルギー物質を書く表記法(個別表示)があり、一括表示では、どの原材料にどのアレルギー物質が使われているかはわかりませんので、詳しく知りたい場合は、製造販売者に問い合わせる必要があります。
<個別表示例1>
名称 ポテトサラダ
原材料名 じゃがいも、にんじん、ハム(卵・豚肉を含む)、マヨネーズ(大豆油を含む)、たんぱく加水分解物(牛肉・さけ・さば・ゼラチンを含む)、調味料(アミノ酸)、発色剤(亜硝酸Na)、リン酸Na
・ハムに使用されている原材料のなかで、アレルギー物質の卵と豚肉が表示されます。
・マヨネーズは卵を使用していることがわかるので、卵は省略されます。
<個別表示例2>
名称 洋菓子
原材料名 小麦粉、砂糖、植物油脂(大豆油を含む)、鶏卵、アーモンド、バター、異性化液糖、脱脂粉乳、洋酒、でん粉、ソルビトール、膨張剤、香料(乳成分、卵を含む)、乳化剤(大豆由来)、着色料(カラメル、カロチン)、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)
・アレルギー物質は添加物にも表示されます。
<一括表示例1>
名称 めんつゆ
原材料名 しょうゆ、風味原料(かつおぶし、かつおエキス、さばぶし、煮干し、昆布)、糖類(砂糖、果糖ぶどう糖液糖)、発酵調味料、みりん、食塩、たんぱく加水分解物、酵母エキス、調味料(アミノ酸等)、酸味料、(原材料の一部に小麦、牛肉、豚肉、ゼラチンを含む)
<一括表示例2>
名称 幕の内弁当
原材料名 ご飯、野菜かき揚げ、鶏唐揚げ、煮物(里芋、人参、ごぼう、その他)、焼鮭、スパゲッティ、エビフライ、ポテトサラダ、メンチカツ、大根刻み漬け、付け合わせ、(その他小麦、卵、大豆、牛肉由来原材料を含む)、調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、グリシン、着色料(カラメル、カロチノイド、赤102、赤106、紅花黄)、香料、膨張剤、甘味料(甘草)、保存料(ソルビン酸K)
なお、同じアレルギー物質名が何度も出てくる場合は、二度目以降は省略されることもあります。 <省略しない表示例1>
名称 ウインナーソーセージ
原材料名 豚肉、脱脂粉乳、食塩、香辛料(小麦を含む)、砂糖、しょうゆ(小麦を含む)、酵母エキス、調味料(アミノ酸、核酸)
<省略した表示例>
名称 ウインナーソーセージ
原材料名 豚肉、脱脂粉乳、食塩、香辛料、砂糖、しょうゆ(小麦を含む)、酵母エキス、調味料(アミノ酸、核酸)
・香辛料にも小麦が含まれていますが、しょうゆに「小麦」と表示しているので、香辛料の小麦は省略されています。
※しょうゆは大豆を使用していることがわかるので、大豆を省略して「しょうゆ(小麦を含む)」とかいてもいいことになっています。「しょうゆ(大豆・小麦を含む)」と表示しているものもあります。
<省略しない表示例2>
名称 シュークリーム
原材料名 フラワーペースト(小麦粉、コーン、スターチ、砂糖、大豆油)、卵、牛乳、砂糖、小麦粉、でんぷん(小麦粉)、食塩
<省略した表示例>
名称 シュークリーム
原材料名 卵、牛乳、砂糖、小麦粉、でんぷん、食塩
・原材料は、重量割合の多い順に表示されます。
・フラワーペーストとでん粉の「小麦」は省略されています。
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※記載の表示例についてのご注意
・ 実際の表示と異なる場合があります。
・ 実際のアレルギー表示は、囲み線、太文字及び赤文字では表示されません。
■アレルギー表示の対象外食品例や、食品の表記欄に記してあるもので、紛らわしいものや耳慣れないものについてご説明します。
ここでは、アレルギー物質と類似している食品成分で、法的にアレルギー表示の義務のないものについてご説明します。
一例として義務品目「卵」の場合を述べますと、卵でも「魚卵、は虫類卵、昆虫卵」等は、アレルギー表示の対象外食品例となっています。
<義務品目のアレルギー表示の対象外食品>
義務品目 アレルギー表示の対象外食品例
アレルギー物質と類似している食品の中に、アレルギー物質には含めない食品があります。
卵 魚卵、は虫類卵、昆虫卵
小麦 大麦、ライ麦、えん麦、はと麦等
そば
落花生
乳 山羊乳、めん羊乳等
また、推奨品目の例として「えび」の場合、「いせえび、うちわえび、ざりがに(ロブスター)、しゃこ類、あみ類」は、アレルギー表示の対象外食品例となっています。
<義務品目のアレルギー表示の対象外食品>
推奨品目 アレルギー表示の対象外食品例
あわび とこぶし
えび いせえび、うちわえび、ざりがに(ロブスター)、しゃこ類、あみ類
オレンジ 温州みかん、夏みかん、レモン、グレープフルーツ
かに ざりがに
さけ にじます、やまめ、いわな
アレルギー表示の対象外の食品成分に関して気になる方は、製造販売者にお問い合わせください。
食品の表示欄に表示されるもののうち、耳慣れないものをご説明します。
タンパク加水分解物
肉、魚、大豆、小麦、とうもろこしなどのたんぱく質を、ペプチドからアミノ酸まで分解したもの。うま味調味料として使用されます。酸分解法と酵素分解法があります。
でんぷん
多糖類の一種で、水に溶いて加熱すると糊状になります。じゃがいも、葛、とうもろこし、小麦、さつま芋、米、サゴヤシ、キャッサバなどを原料に作られています。
ゼラチン
たんぱく質の一種で、水溶性のコラーゲン。水に溶いて加熱したあと冷やすと固まります。主に牛、豚、鶏などから作られ、ゼリーなどのお菓子の他、ハム、ソーセージなどの結着剤としても使用されます。
カゼイン
牛乳に含まれる主なたんぱく質、熱には凝固しにくいが、酸で固まる性質があります。カゼインナトリウムは、結着性に優れているので、アイスクリームやソーセージ類、お菓子、パンなどに使われています。
ホエイ
牛乳に含まれるたんぱく質で、酸や酵素で固めた時に残る液体の部分(乳清)。牛乳を加熱すると表面に生じる薄い膜はこのたんぱく質です。
増粘多糖類
草木、海草などから抽出した多糖類で、増粘剤や安定剤として使われます。粘性があるので、お菓子、ドレッシング、練り製品、アイスクリームなどに使用されています。グアーガム、カラギーナン、キサンタンガム、ペクチンなどがよく使われます。
レシチン
代表的なリン脂質で、卵黄や大豆から取ったレシチンが、乳化剤として使われます。
乳化剤
混ざりにくい2つ以上の液体を乳液状またはクリーム状にする添加物で、卵黄や大豆、牛脂から作られます。牛乳から作るものではありません。
食品業界で使用される、耳慣れない用語等をご説明いたします。
副材
添加剤や調味料などを使いやすくしたり、安定化させるために、溶かしたり固めたりするもの。油脂加工品やでんぷん加工品などがよく使われます。
キャリーオーバー
材料として加工品を用いた場合、それに含まれている添加物のことで、最終製品では、それ自身の働きは失っています。アレルギー表示の対象となります。
(例)クッキーに使用したマーガリンに含まれる乳化剤。
加工助剤
加工食品を製造する過程で使われる添加物のことで、最終製品にはほとんど残らず、残ったとしてもそれ自身の働きは失っています。アレルギー表示の対象となります。
(例)油を抽出する時に使う溶剤。
コンタミネーション
食品を製造する時に、機械や器具からアレルゲン(アレルギーを起こす原因となる物質)が意図せずに混入すること。
由来
食品や原材料が何からできているかを表す言葉です。